ニュージーランド,  雑感

マオリ

「マオリ」と聞いたらとてもプリミティブ(原始的)な響きを感じないだろうか?
僕は約10年前に初めてマオリの人と対面した。
当時勤めていた農林高校に英語の先生が赴任してきてその人がマオリだった。
最初は「どこから来たの?」という表面的な挨拶から始まったのだが、「ニュージーランドだよ!マオリなんだ!」という彼に、「マオリ?!」ととても当時の僕の知的好奇心が刺激されたのを今でも覚えている。
例えるならば「日本から来たよ!アイヌなんだ!」という響きと似ているのだろうか。

それから約10年の月日を経て、僕は今人生で初めてニュージーランドの地に足を踏み入れている。
そこで感じるのはマオリの人(ニュージーランドの先住民族)がとてもこの地で尊重されているという事だ。
ちなみにニュージーランドの人口は2022年時点で513万人(1980年当時は311万人で右肩上がりで増加)中、ヨーロッパ系70%、マオリ16%、アジア系15%、パシフィック系8%、中東・南米・アフリカ系2%だそうだ。
(統計を全部足し合わせると100%を超えるのは色々とミックスして重複しているという事だろうか?)

マオリは80万人ほどニュージーランドに住んでいるらしい。

そして僕が感じるのはそのマオリの存在感だ。
ニュージーランドは公用語が英語・マオリ語・手話(手話を国の公用語として定めたのは世界で初めて)となっている。
オークランドでバスに乗ったときに驚いたのはマオリ語でのアナウンスがまず流れてそれから英語が流れてという順番であったり、博物館へ行ってもまずマオリ語での説明があってから英語の説明がそれに続いていたり。
学校見学へ行っても、マオリ語の授業は必修であるし、地域によってはマオリ語しか表記がない学校もある。

オーストラリアの先住民族がどこか隅に追いやられている感じがあるのに対して、ニュージーランドはマオリの人と共生していくんだ!というような気概のようなものを強く感じる。
所得格差や文化の違いなど、社会課題はいくつもありそうだが、それらを正面から捉えて乗り越えていくんだというような雰囲気を感じる。
それはマオリに対してではなく、ニュージーランド全体の国民(アジア系、パシフィック系、その他の民族の人たち)において同様のものを感じて、よく民族差別がニュースで取り沙汰されることもあるが、ニュージーランドにおいてそういった雰囲気は少ないように感じ、滞在して2週間になるが、嫌な思いをしたり、ちょっと怖い感じがあったりといった体験は今の所皆無だ。

そういえばフィリピンに住んでいるときは、公用語は「英語」と「フィリピノ語(タガログ語)」だったが、日常生活においては現地の言葉が大勢を占めていた(暮らしも職場も学校も)。なので日本人にとって、英語圏で暮らしたいという我が家の様なケースにはちょっと向かないのかな・・・という様な話もした。(気候は温かく、人々は大らかで、物価も安くて・・・暮らしやすいとは思うが。)

ちょうどこの前の夏に北海道を家族で旅した時に「アイヌ」の文化にとても興味を持ったので、図らずもそういうプリミティブな文化に触れる機会が今後ますます増えていきそうだ、と思うとそこはとても楽しみである。

ニュージーランドはとても刺激的で魅力的な国だと思う。