行き渋り
楓ちゃんは小学校3年生になった。
養護学校に通っている。
家から車で1時間ほどのところにある学校で、毎日の送迎はシルバーさんが担ってくれている。(県と町の予算)
地元の小学校の支援級と通学範囲内の養護学校2校を入学前に見学や体験に訪れて、今の学校に決めた経緯がある。
1年生のときは張り切って通っており、家に帰ってからは家族全員を巻き込みながらの「学校ごっこ」が定番だった。
2年生になってから段々と学校に行きたがらなくなってお休みする日が増えてきた。
3年生になってクラスの友達も変わり、担任の先生も変わり(学年主任の先生も変わり)、どうかなぁ?と思っていたが、数日は元気に通ったが、すぐに「学校いきたくない」「学校つまらない」と行き渋る様になる。
この1年あまり、学校とはずーっと(主に妻が)コミュニケーションを重ね、手を変え品を変えながら、時に学校にも一緒に通いながらしてきたが、もう現状では通えない様になるギリギリのラインだと夫婦でも感じる様になっていた。
学校とは本当に密にコミュニケーションを取っていると思うが、なかなか学校も変わることが難しい。
生徒3人に対して先生が2人いるというとても大人の手の数がある環境であるので、柔軟に子どもに対応できるのではないかと期待していたが、なかなかどうして「学校のカリキュラム」というものに生徒が付き合うという色合いが濃い。「もっと抜本的にトライしていかないと難しいと思います。」と訴えてもなかなか変わることが難しかった昨年。結局年の終盤は3人の生徒のうち2人が不登校で、生徒1人に対して先生が2人いるというなんとも「?」な状況に。
僕たちのビザは7月中旬頃になりそう、とのことで夏休みまではそれぞれのようちえんや学校に通うことになりそうで、僕は半ば諦めて「もう家が良いなら家で過ごしたら良い。(僕も家にいるし)」という気持ちだったが、菜生ちゃんは「お金も人的資本もある学校なのにそこが上手に子どもと向き合わないというのはおかしい!諦める前にもっとチャレンジしたいことがある!」と熱い想いをぶつけてくる。1年間、娘と向き合い学校と向き合っていく中で、彼女の中でもうちょっとトライしたい気持ちがあったみたいだ。ソーシャルジャスティス。僕は彼女のそんな姿勢を実に尊敬する。諦めてしまうほうがよっぽど簡単で、チャレンジすることは時にハレーションを生んだり、時間とエネルギーを消耗する、それでも自分がひっかかることであったり、モヤッとすることを放置しない。
僕も彼女に引っ張られながら、(時間に余裕が生まれたことも助けて)学校に娘と一緒に行き一緒に授業に参加したり、懇談には夫婦で揃って参加したりして、(去年も同様にしていましたが、)最後のコミュニケーションを図りました。
「確かに学校で子どもたちに教えたいものもあるかもしれませんが、そもそも学校に子どもたちが行かなければ何も始まりません。」という話から始まって、懇々と娘の状況や我々の想いを先生に伝えます。先生も先生の想いを伝えてくれます。懇々談です。
「もう時間割とか無視して、楓ちゃんの過ごしたいように過ごさせてください。」という想いを伝えさせてもらいました。
懇々談の次の日は、「学校に行きたくない」と布団から出てこれなかった楓ちゃん。奇跡的に楓ちゃんが好きなシルバーさんの送迎の日で、なんとかギリギリ登校。その日は1人の先生が楓ちゃんについてくれて朝から楓ちゃんのしたいことを聞き取りながら1日過ごしたみたいです。「運動会も参加したくない」という楓ちゃん。運動会も参加しないことになり、運動会の練習にも参加しないことになったそうです。(僕も先週一緒に運動会の練習に参加しましたが、「誰の何の為の時間?」と大きな「?」の時間でした。)
休み時間にはクラスメートの男の子が「3人で中庭の砂場に行って遊びたい!」と担任の先生に訴え、「僕たちもう3年生だから自分たちで行ける!」と3人だけで行って遊んでいたみたいです。(先生は上の階から様子を見て。多分この学校では異例の事だと思う。)
ちょっとずつ子どもたちの主体を取り戻しながら、そこから学びをデザインしていけたら子どもたちも先生も少し幸せな学校時間になると思う。
本当にどうなるか分かりませんが、ちょっとずつ学校が変わって楓ちゃんが「楽しい!」と毎日通える場所になっていったら良いなと思う。
菜生ちゃんの不断の努力と不屈の闘志はすごい!
楓ちゃんは昨晩の時点では「学校楽しかった!明日も学校行く!」と言っていましたがどうでしょうか?(そういうことは前からもよくあることでした。我慢して頑張っていくところでは無いと思うんですよね。)
ニュージーランドへ行く!というのは「外国で家族で暮らしたい」という夫婦の想いと「外国へ行ってみたい」という泰ちゃんの想いが発端でしたが、楓ちゃんがニュージーランドへ行ってインクルーシブな楽しい雰囲気の学校に通うのも今では1つの大きな動機になっています。
さてさて、残り2ヶ月ちょっとかもしれませんがどうなるでしょうか?
日本での時間を噛み締めながら過ごしたいです。
(字ばっかりですが、備忘録として。)