Wellbeing
泰ちゃんが苦しんでいる。
エイッと現地の学校に放り込まれて、「頑張ってね~。泰ちゃんなら大丈夫!」というような親(僕)。
僕はまず飛び込む事だと思っている。
飛び込んだ中で、色々見聞きして吸収して、そこの型にはまってみて、そこから自分の型を作ってみたり発展させる。
「守・破・離」とも言うんですかね。
ニュージーランドの学校(今通っている学校のことしか分からないが)は概ね大らかという風に日本の人は評価することが多い。
なかなか大変で行くのがしんどいという時には、すぐに毎日の午前中はESOL(English for Speakers of Other Languages:英語が母国語でない人の為のクラス)で過ごすように泰ちゃんのカリキュラムが変わったり、プラスアルファで英語の授業を準備してもらったり、もう1年この小学校に通いたいとリクエストしたらその様になったり、とその対応の速さぶりに驚いた。
それでしばらくは過ごしていたが、やっぱり毎日の学校は気が重たいみたいで、朝起きてこれない日があったり、「今日は休憩したいから休む」と学校を休む日があったり。
それを他の先生に相談すると
「泰ちゃんのWellbeingが一番だから。学校で何が出来るかな。」まず泰ちゃんを中心に据えて、何が彼にとって一番良い時間の過ごし方かを一緒に考えてくれたり。
統計上たくさんの「不登校」児童・生徒がいる国から来た僕としては「きっと今の泰ちゃんの様に学校に行き渋る子もいるに違いない。そんな子達はどうしているのだろうか?どの様な選択肢があるのだろうか?」ということだったので、聞いてみると
「泰ちゃんのケースは本当にユニークだと思う。」
と真剣にそう答える。
「ユニーク?!」
聞くと、本当に学校に来ない、来たくない、というケースは稀とのこと。
今の学校も約600人の子どもたちが通っているが、学校に行き渋っている子はどうもいないらしい。
校長先生に相談してみると
「学校が泰ちゃんの為に何が出来る?」
と全力でその可能性について探ってくれる。
「クラスはどう?担任の先生はどう?クラスに日本人がいたら良いかしら?」
と色々と可能性を示してくれる。
僕もその日、朝一で校長先生と相談して、家に帰って泰ちゃんと相談。
泰ちゃん
「学校は本当に良くしてくれている。学校に不満はない。あと1ヶ月だし、クラスを変えるというのはまた人間関係が1からスタートするからそれもちょっとしんどい。だから大丈夫。自分の問題。今日は1日家でゆっくりして、また明日から学校に行く。」
とのこと。
なので、現状維持ということになったのですが、何なら次の日からクラスを変えることも可能だし、何なら学年を飛び越えて日本人の子がいるクラスに入ることも可能。
すごい柔軟さと機動力。
そして、僕が一番心を打たれるのは、現場の先生も校長先生も生徒のWellbeingをまず第一に考えてくれること。生徒の最善の利益を最優先してくれること。
(そこが日本との大きな違い。単に学校に来ることが「是」、行かないことが「否」として扱われる事が多かった。)
そうなんだよなぁ、小さい頃からみんなに大事に見守られながら育つこと。
そんな温かく、安心して過ごせる居場所が大事なんだと切に思う。
一概に良し悪しは語るのは乱暴だと思うが、僕はこの学校のこういう温もりが好き。
どうしたらそういう余裕が生まれるのかな。
教育にかける予算なんだろうか?
teacher-aid(補助教員)なんかが担任の業務をサポートする。
色々な進度で、色々な授業が同時展開していく。
(そう多分一斉授業の色合いが薄いのが日本との大きな違いなんだろうと思う。日本にも補助教員は配置されているが、教室で一緒に過ごして進度が遅い子などをサポートするのが一般的。)
(11月17日:日本とニュージーランドの小学校にかける予算が気になってちょっと調べてみる。)
僕が勤めている学校:生徒約600人(年間予算約4億2000万円。1ドル90円換算)。職員数53人(フルタイム46人)。児童職員比率:13:1。人件費率約76%
日本の小学校:児童数620人想定(年間予算4億8000万円。)。児童職員比率:15:1。人件費率約86%。
(ざっとだけど。。。職員にかけているお金がニュージーランドの方が少ないってことなのかな?)
初任給→ニュージーランド 約45万円、日本 約22万円
・・・ますます良く分からなくなってきた。。。
(おわり)
室内で活動していたり、外で活動していたり。
泰ちゃんはこの前の金曜日に校長表彰を受けた。
野ちゃんと一緒の「勇気」の部分での表彰。
異国の地で頑張っているところを評価してもらった。
本当に頑張っていると思う。
全校生徒の拍手喝采を受けてステージに登壇し受賞する。
本人もとても嬉しかったみたいだ。
とても嬉しそうな彼を見て僕も嬉しかった。
その晩、そっと教えてくれた。
「何も気を使わず、おしゃべり出来る友達が欲しい。」
言葉の壁はやっぱり分厚く高い。
ホッと気を抜いて友達と一緒に過ごす時間が何よりの精神安定剤になるのでしょう。
町の日本人子どもグループの集いがあるらしく、そこのFacebookグループにアプローチしてみた。
まだ活動しているのか定かでは無いが、連絡を待ちたい。
子どもも大人もWellbeingを大切にする。
そんな雰囲気を経験させてもらっているような気がする。