ニュージーランド,  学校,  雑感

ニュージーランドの生態系の保全

ニュージーランドに来て日本と違って面白いなぁと思うことの1つに生態系の保全があります。

ニュージーランドは世界的に見ても人間活動の歴史が浅い国で、故に人間が生態系に及ぼしているインパクトが目に着きやすいのだと思います。

人間がこの大陸に上陸するまでは、その他の種がゆっくりとその独自の進化の過程を辿っていました。

海で隔たれた大陸故に外圧が少なく、陸上哺乳類も空を飛ばないコウモリが2種いただけとされています。外敵の不在により鳥類も大型化し進化の過程で飛ぶことをやめた鳥も多数います。今は絶滅してしまいましたが、モアという体長3.6m、体重200kgの鳥類も存在していたみたいです。
実物を見てみたかったなぁ。

鳥類にしても、植物にしても、魚類にしても、爬虫類にしてもニュージーランドにしか存在しない固有の種が多数存在し、そしてそれらは一律に外来の種により脅威にさらされています。

ロトルア湖に浮かぶモッコイア島というのは179,000年前の火山活動で生まれた島と言われていますが、今はマオリの聖地として立ち入りが制限されている島があります。

その島の生態系を守るための団体があるのですが、その団体のメンバーの男性が毎日ボートでその島にくりだしては罠をしかけてネズミを捕っています。僕も幸運な事に学校の生徒と一緒にその活動に参加すべくモッコイア島に何回か上陸したことがあるのですが、段々とその価値について実感するようになってきています。

最初は単に「聖地かぁ」というその「聖地」という響きに有り難みを感じていたのと同時に、毎日「ちまちまと」(適切な表現が見つかりませんが、あけすけに表現するとすると。)ネズミを捕まえて何になるのだろうという疑念も正直抱えていました。

しかし、昨日改めて生徒と一緒に罠の見回りをして、その鳥類の密度の高さに感じ入るものがありました。人間が持ち込んだネズミなどの外敵が存在しないとここまで鳥の姿が増えるのだと。

昔のニュージーランドの描写のある本を読むと「鳥の楽園」というような表現を良く目にします。

人間がこの大陸に移り住む前はこのモッコイア島の様に沢山の鳥類が飛び回っていたのだろうと想像すると、なんだかタイムマシンに乗って当時の景色を見させてもらっている気になります。

僕も学校で毎日罠を仕掛けては生徒と一緒に見回りしていますが、「こんなことをしていて何か意味があるのかな?」という疑念に対する答えをまざまざと見させてもらっているようです。

この景色を作り出すのは地道な毎日の積み重ねが必要です。

その1日1日はとても地味なものですが、その先にとんでもない景色が待っています。

(イチローの言葉を思い出します。)

その毎日島を見回っているのはマオリの初老の男性で口数が少ない人ですが、とても尊い、神々しい人に今では見えます。

志を胸に抱きながら、地味な毎日を積み重ねていくことの大事さを教わった気持ちです。

身近にそんな環境、存在があるというのは一つの希望です。

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